2013年6月29日土曜日

ブッダガヤのシータマ②

4月8日(日)

走る、走る、列車は走る。ランクとしては上から二番目に良い2ACなので毛布1枚とシーツ2枚、枕1個が付いてるが、とにかく具合が悪いので体力温存の為に寝る、寝る、寝る。揺れる列車の中で、幾らでも眠れる。インド人達は、一食目のお弁当は確実に持参しているが私は何も持っていないので、昼も夜も車内の食事を注文する。インド人は晩ご飯が遅い。9時頃。そして食べたら即寝る。

コーチの入り口のカーテンをペラリとめくって車両スタッフがゴミだのメシだの言いにくるのだが、東部インド人と思われているようで一切の声かけはヒンディ。しかしこの程度の会話なら全部理解出来ている自分が不思議。「ネイ〜」とか答えている。

予定では翌深夜3時に付く筈だが、スタートからして6時間遅れている。一応アヌープには連絡を入れておいた。


4月9日(月)

3時なんてとっくに過ぎている。その後、遅れがどれだけ拡大しているのか分からないが、一応6時間後の午前9時くらいからはスタンバイする。一駅止る度に手元に書いておいた駅順と照らし合わせなくてはならず、気が休まらない。インドの列車には到着アナウンスは無く、いくらヒンディが読めても寝過ごしたりしたら大ごと。しかも、そういう時に限って睡魔が襲ってくるのだ。

結局ガヤ駅に到着した時はに、既に正午をまわっていた。9時間の遅れ。なにはともあれホームでアヌープを発見。AC付き車に乗り込むが、窓全開、エアコンは付ける気配なし。ガヤは騒々しい町だ。車中からゴパールジに到着を知らせる電話をかけるも、騒がしすぎて会話にならぬ。窓の外から熱風がしんどい。

30分ほどして、ようやくブッダガヤに到着した。ガヤからのバスはないのだそうだ。アヌープが取っておいてくれいたゲストハウスの部屋はダライラマの灌頂広場に面している。一瞬、日本人的感性で

「広々して日当りもいいし、大きなベランダもGOOD!」

と思ったが間違えた!インドで日当り良好は超BADなんだよー!

危険な暑さ!


2日ぶりの水浴びをして休んだ後に、アヌープが彼の地元スジャータ村につれていってくれる。スジャータの墓の遺跡や、私のリクエストでマータンギー寺など。アヌープ家でご飯を勧められたが、結構具合が悪いので気合いもお愛想もここが限界。

町に戻って、露店でムサンビ(蜜柑の一種、ビタミンCが豊富)ジュースを飲んで、アルティキ(マッシュポテトにグレイビーをかけたもの)を食べてそれで夕食を済ます。ちなみに、私はインドの露天でバクバク食べているが、それでお腹を壊した事は一度もない。熱が出ていてもそれは同じ。日本人とドイツ人は神経質過ぎる。

熱は38°弱。完全なる風邪の兆候。数日移動が激しすぎて疲弊したのだろう。

スジャータ村。小麦畑に沈む夕陽。



ところで、


皆さんは、インド人の音響が凄まじい大音量だということをご存知だろうか?


私はそんなに沢山の国に行った事がないけど、世界中どこの国だってインドの比ではないことは間違いない。自信を持って言える。

この日、私の部屋の目の前の灌頂広場では労働組合の大会が開かれていた。ものっ凄い爆音スピーカーで労働組合の力強いシュプレヒコールが・・・・。

「カイダーヴァー、カイダーヴァー!」(Never die ! Never die ! 絶対負けないぞー!)

とマイクの人が叫ぶと群衆がそれに応えて復唱する。


そして・・・

皆さんは、日本語は現存する中で唯一の母音主体言語だということをご存知だろうか。日本人の脳は子音よりも母音をピックアップして言葉を認識するのだ。

したがって日本人である私の耳には


ai aa aa, ai aa aa !

と聞こえる。

「ii aa aa, ii aa aa !」

sii taa maa, sii taa maa !」

先週ようやく終わりを告げた五ヶ月間のアシュラム生活で、毎日、毎日、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も聞いた言葉!

 「シーターマー!シーターマー!」

「シーターマー!シーターマー!」

「シーターマー!シーターマー!」

やめてくれーっ!


こちとら熱を出して真夏の最中に毛布かぶって寝てるってのに気が休まらない!組合長、私の名前を呼ぶな!群衆も応じるな!しかも真夜中の12時まで!

頭が痛い時の爆音というのは、実に身体に障ります。

(続く)


やっぱり瞼が目に被さっている・・・。アヌープの作った学校です。