2011年4月6日水曜日

祝・優勝、インディア!

 先日、ワールドカップの決勝戦がありまして・・・といっても、サッカーではなくてクリケットなんですが、インド対スリランカ、競合同士のマッチとなりました。

 ルールは野球の親分みたいな感じで、一試合がやたら長い。ワールドカップだと通常より短いらしいのだけど、それでも10時間ちかくやっている。


 なので、2時半に始まったこの試合が終わる時間は、夜半、ということになるわけです。で、この晩は、布団に入ったものの、麓からひっきりなしに歓声が聞こえて、眠るどころじゃなかった。アナウンサーの実況も高らかに、学校ではマーチングチームがドラムをどんどこ叩いてるし、ウワーッとくるたび、「あ、インドが一点入れたな」とかいろいろ考えちゃって。

 でもね、テレビ観戦に、ドラム叩いて応援するか?と不思議に思いつつも、この大騒音に全然嫌な気分はしなかったんだな。うまく説明出来ないんだけど、とても幸せな気持ちで思いをめぐらせてました。


 学校でドラムが鳴っているということは、生徒が起きているということだな。バスの中で知り合った先生達も、みんなテレビの前で盛り上がってるんだな。アニルも、アニルと彼女の結婚にまだ許可を出していない彼女のお父さんも、テイラーのヴィーナマダムもご家族も、どこもかしこも、一軒残らずテレビを見てドキドキしている。テレビの買えない家は、お金のあるお家に集まって、お金のある家は、テレビを皆に公開して。村中全員が楽しそうで、笑ってて、なんかこういうの、いいな。彼らは、私の胸をとてもとても温かくしてくれました。


 昔は、力道山の試合の時は、テレビのある家に寄ってたかって、プロレスをみたものだ、とか聞くけど、日本も昔はおんなじだったんだね。物質的には、決して恵まれた時代ではなかった筈だけど、でもとても豊かだったんだな、と思いました。


 結局、寝るのは諦めて、ベランダに出たんだよね。そしたら花火が上がって、大歓声が起こり、インドが勝ったことを知りました。ここから見下ろせる程ささやかな花火は、真っ暗な闇に単色の光を散りばめ、その素朴さが、とても美しかった。


 老いも若きも、富める者も貧しい者も、それぞれの苦しみを今夜は手放し、一丸となって喜び合っている。水は止まるけど、電気は高価だけど、道に寝泊りする人も沢山いるけれども、インドは、まだ、とても豊かだな、と思いました。同時に、外の国の人間には、ちょっと理解しきれない不思議な国だなと。

 彼らは屈託しない。引きずらない。悪く言えば、すぐ忘れる、責任感がない。むっとしたかと思えば、次の瞬間に笑っている=意味がわからない。とはいえ、インド人に嫌な目に遭わされた、という記憶はひとつもないんですけどね。インド人の人にはとても大事にして貰えてありがたいです。それにしても、彼らの、ある種の諦念みたいなものは、いったいどこから来るのか。偉大すぎる。


「明日は明日の風が吹く。泣くのは嫌だ、笑っちゃおう。」


私がインドに教わった最大のことは、まさにここにあり、といったところ。


ありがとう、インド。おめでとう、インド。
ずっとそのままでいて欲しいな。インド、フォーエヴァー!



しがない日本人より