2009年9月18日金曜日

photo 続・いちばん苦しかった休日?




気を取り直しして、ベースキャンプとしたボージヴァーサのアシュラムを6時出発。ゴームク(4255m)までの4kmを経て、更に4km先のタポバンを目指す。お兄さんの紹介してくれたガイド氏と一緒。頂上に近づくにつれ、壁にしがみつくような急斜面となったが、なにぶん土台が氷河なもんで、しがみつく岩が地面に根ざしておらず、どうにもならない。ガイド氏だけは、コンビニでも行くような風体で、ひょろひょろと登って行ける。野生のヤギ斜面を駆けると、漬物石みたいなのがゴロゴロ落ちてきて、危機一髪。怖い。この写真を撮ったときに「あれ、アタシなんでこんなとこでヒマラヤ登ってんの?」とふと我に帰り、なんじゃこりゃ的妙な気分になっていた。背後のマイペース族が全然付いてこず、ガイドも私も、呆れて無口になってしまっている。




タポバン(4500m)登頂。山頂から流れ落ちる雪解け水を渡ってここまで来たが、太陽が南中する午後2時を過ぎると増水し、危険で帰れなくなるのだ。時間が迫っているのにマイペース後続隊が全くいうことを聞かず、ガイドがイライラしている。我々の命を預かる仕事なんだから、彼がイラつくのはもっともだと思う。ともあれヒンディーの夢のタポバンに来れたことには感謝。ババ達とマタジのクティールを尋ねてから下山。


 
これがガンガーの出発点、ゴームク(牛の顎)。巨大氷河から氷水が流れ出している。危険なので至近距離に寄るのは厳禁だそうだ。ブログとかで壁ギリギリに寄って撮影してるスナップを見たことがあるが、今となってはゾッとする。というのも、私自身、畳数枚分の氷が爆音と共に落盤するを目撃したから。怖かった。時間が相当押している。どうやら雨が来そうだ。










その氷水で沐浴。ついさっきまで「まじですかー」と思ってたけど、先頭切ってズカズカ、ザバーンと行ってやった。この手の躊躇のなさはいつも外国で驚かれるのだが、これは日本人特有の特攻隊気質ではないか。ためらいながらは余計にしんどいし、心も感覚も完全に放棄してしまえばいい。でも上がってからは寒かった。歯の根が合わないというのはこういうことか。ところで、我儘スベダがついに「私はこっちの道を行くべきと思うわ!」と楯ついて、ガイドを怒らせてしまった。山岳のプロの彼にこそ従うべきで、素人が何を根拠にダメだししてんだ!と思った。10年以上ぶりに私は腹を立てているかも知れない。





結局ガイドに置き去りにされた一行、岩場は私がガイドして、ボージヴァーサへ帰りついた(岩場に関してはセンスがあるらしい)。夏とはいえ、日も暮れると本当に寒い。毛布の中の寝袋で咳をしながら眠る。今回の巡礼は、私にとっては本当に試練だった。黙る以外ないというか、黙らないと怒ってしまいそうだった。でもこれも縁なのである。普段は単独派なので、苦手とする他人(しかもカルマの濃い集団)と共に極限に挑む行為は、新たな勉強だったし、休日というより完全に苦行であった。あまりにも勉強することは多かった。寒くても人に毛布を与えること。理不尽な状況にも怒り出さないこと。水は個人の財産にあらず。(でも水くらいは持ったほうが良いよね。)翌日5時にボージヴァーサを出発。やっと安らげる、との思い空しく、ガンゴートリへ戻ってもなお、苦行は続くのでした。
June 2009 Gangotri-Bhojiwasa-Gomuk-Tapovan