女王様は、ナルシシズムの下僕である。(中略)自らに何らかの付加価値をつけたがるナルシシズムの欲求に愚直に応えた挙句、「借金」だの「依存症」だのを抱えて周囲から「イタい女」と認定される、というオチをつけ、結果的には「自分に価値をつける」ための行為がすべて「自分から価値を剥奪する」行為に成り下がる、まるでイソップ童話にみたいに寓意に満ちた人生を歩み続けているのだ。
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中村うさぎといえば、借金して高級ブランドを買い漁り、ホストクラブで豪遊し、顔や胸を整形し、女を磨く女王様(?)として有名な作家さんですが、この人は、すごいんですね。何がすごいかというと、これだけ迷走しておきながら、巻き込まれて無いというか、首一個分出して、自分の迷走模様をじっと観察分析してる訳です。その分析結果を原稿にして発表してる。ある意味悟ってますよ。面白いので、うさぎ女王様のお言葉を抜粋して、紹介しちゃいます。
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(空腹でカフェに入って、メニューを見ながら葛藤する場面)~それは一見すると「欲望」と「理性」の戦いという同じ構図に見えるのだが、よくよく観察してみれば、神と悪魔の立場が逆転していることに気づくのである。つまり、「欲望vs.理性」ではなく、これは「ナルシシズムvs.自己保存欲求」の戦いなのだ。
ブランドものが欲しい、高価なもので着飾って周囲の羨望の視線を集めたい、というナルシシズムの声が、私の中に浪費の悪魔を生み出した。それに対して「買うな」と命じる神は破滅を恐れる「自己保存欲求」の声であった。
一方、ダイエットの場合はどうか。私は自分が健康に悪いほど肥っているわけではないことを重々承知している。それでも「痩せよ」と命じる神は、スリムなボディラインで他者の羨望の視線を集めたいというナルシシズムの声なのだ。そして、その神に対して反抗し、思いのままに食いたがる悪魔は、私の体力を維持しようとする「自己保存欲求」の化身に違いない。
そう、買い物嗜癖の頃の私にとって「欲望の悪魔」であったナルシシズムは、ダイエットにおいては「理性の神」を装っている。まるで「食べたい」という低劣な欲望と戦う謹厳なる正義のような顔をしているが、その正体は「瘦せて美しいと思われたい」という浅はかなナルシシズム。「他者の目にどう映るか」を至上価値とするおまえは、食欲を抑圧して痩せろ痩せろと命じ、物欲を刺激してブランド物を買い漁らせ、本来快楽であるはずの食事も消費も何もかも悪夢の戦いに買えてしまったのだ。
ナルシシズムとは何か。それは、他者の視線を満たすことだけを欲求する空っぽの自己なのである。
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この部分を読んで、現在の日本のヨガ産業も同じカラクリだな~と、思ってしまった。「欲望の悪魔」が、ここにおいては「スピリチュアルと純粋の神」を装っている・・・・と、これ言いすぎですかね。でも、他意はなく、単なる客観的な感想ってことで許してちょ。
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ナルシシズムの欲求とは、他者の肯定に満たされることで初めて自分を肯定できる、言い換えれば、他者に肯定されなければ永遠に不全感を伴う「空っぽの自己」の表れなのだ、と、ようやく今にして、女王様は思う。
とめどなくほとばしるナルシシズムの欲求と、自己確認の欲望・・・・・・それらに踊らされる自分がいったいどこまで行くのか、いつになったら女王様の流浪の道行きは終焉するのか。
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自分に何らかの価値を付加しようとせずにはいられない不全感。これがYoga・Vedantaでいうところの無智であります。ここでの女王様の言い分は「無智蒙昧の旅の末路に答えはあるのか?」ということですが、なんのことは無い、女王様は知ってるんですよ。「そこに答えは無い」と。いやはや、作家とは、つくづく面白い構造の人種だわ。
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欲望というのは、歴然とそこにある。今ここにある自分と同じように歴然としている。消す消さないとか、どんな行為を選べば純粋になれるか、とか、そういう問題じゃない気がする。自己確認の欲望が、ナルシシズムという無智を離れ智慧という道具を得た時に・・・・自己は現実となって確認されるのではないでしょうか?結局、対象ではなく、自分自身の気づきと、気づく勇気と覚悟の問題だと。女王様、ある章に「事実を認めよ」という見出しを付けてますが・・・
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あっぱれ女王様!
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追伸:女王様は自称「自分研究家」であり、ついつい「自分の謎解き」に熱中してしまうそうですよ。
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