2015年7月27日月曜日

旅の途中




夕暮れ。

暗い空と森のシルエットのはざまに

消えそうな焚き火みたいな空。

終末を思わせる景色の中で立ちすくむ

コンビニの灯のあたたかさ。

そこでは、おでんが煮えてたり、プリンが冷えてたり、

うわさ話の詰まった本が並んでいたりする。

おつかいをたのまれた子供や、まだ家に帰りたく無い高校生たち

今夜の豆腐とビールの味を思う仕事終わりのおじさんが

三々五々と集まっては散り散りに家路につく。


285キロで走る新幹線の窓から、そんな風景を、遠巻きに眺めているのが好きで、これは別に新幹線に限ったことでもなくて、飛行機から見える漁船の灯や、東京湾の工場群、埃っぽいバスの窓にこめかみを預けて眺める農家の窓とか、そういうのが、私の好きな物。

誰かが、笑ったり泣いたりしながら、ご飯食べて生きてる。


いじらしさ。


その全景を遠巻きに見ているのが好きだ。


私にとって旅の楽しみとはそれに他ならない。


先週末は、兵庫、京都とお邪魔して、みなさんにお話をさせていただきました。

移動の日には台風が来ていて、町は大混乱だったけど、でも本当は私は知ってたよ。台風が私のクラスに支障をもたらすことが出来ないことを。

なので、飛行機やら私鉄やら国鉄やらホテルやらを使った24時間以上に及ぶその「旅」を存分に楽しませて貰いました。


旅の間だけじゃなくていつか、いや、今すぐにでも、もうずっとこうして「遠巻き」に灯だけを眺めてたい。それが私の夢なのだけど、今回、たつの、姫路、京都で、沢山の皆さんにお会いする中で、ふと思い止まりました。


多分、誰にも必要とされなくなってからが、本当の意味での修行なんだと思う。

これは本当にそうだと思うよ。

楽そうに見えるけど、違うな。



だけど今回「あー、なんで私はそんなに生き急いでたんだろう?」って思った。


誰かに何かを伝えることが出来て、それを受け取って役に立ててくれる人がいて、つまり、多くの人に必要としていただいて、私もまた、必要としていただくことを必要としている。

そこに応えることを私はまだやりきってないし、それをやりきらなくては先に進めないんだなと。

車窓から見えるドラマの出演者の一人として。


厭世的な自分に、ちょっと言い含めてやらないといけないな、と思った旅でした。

来て下さった皆様へ。

どうもありがとうございました。


愛と感謝を込めて

Sita