夕暮れ。
暗い空と森のシルエットのはざまに
消えそうな焚き火みたいな空。
終末を思わせる景色の中で立ちすくむ
コンビニの灯のあたたかさ。
そこでは、おでんが煮えてたり、プリンが冷えてたり、
うわさ話の詰まった本が並んでいたりする。
おつかいをたのまれた子供や、まだ家に帰りたく無い高校生たち
今夜の豆腐とビールの味を思う仕事終わりのおじさんが
三々五々と集まっては散り散りに家路につく。
285キロで走る新幹線の窓から、そんな風景を、遠巻きに眺めているのが好きで、これは別に新幹線に限ったことでもなくて、飛行機から見える漁船の灯や、東京湾の工場群、埃っぽいバスの窓にこめかみを預けて眺める農家の窓とか、そういうのが、私の好きな物。
誰かが、笑ったり泣いたりしながら、ご飯食べて生きてる。
いじらしさ。
その全景を遠巻きに見ているのが好きだ。
私にとって旅の楽しみとはそれに他ならない。
先週末は、兵庫、京都とお邪魔して、みなさんにお話をさせていただきました。
移動の日には台風が来ていて、町は大混乱だったけど、でも本当は私は知ってたよ。台風が私のクラスに支障をもたらすことが出来ないことを。
なので、飛行機やら私鉄やら国鉄やらホテルやらを使った24時間以上に及ぶその「旅」を存分に楽しませて貰いました。
旅の間だけじゃなくていつか、いや、今すぐにでも、もうずっとこうして「遠巻き」に灯だけを眺めてたい。それが私の夢なのだけど、今回、たつの、姫路、京都で、沢山の皆さんにお会いする中で、ふと思い止まりました。
多分、誰にも必要とされなくなってからが、本当の意味での修行なんだと思う。
これは本当にそうだと思うよ。
楽そうに見えるけど、違うな。
だけど今回「あー、なんで私はそんなに生き急いでたんだろう?」って思った。
誰かに何かを伝えることが出来て、それを受け取って役に立ててくれる人がいて、つまり、多くの人に必要としていただいて、私もまた、必要としていただくことを必要としている。
そこに応えることを私はまだやりきってないし、それをやりきらなくては先に進めないんだなと。
車窓から見えるドラマの出演者の一人として。
厭世的な自分に、ちょっと言い含めてやらないといけないな、と思った旅でした。
来て下さった皆様へ。
どうもありがとうございました。
愛と感謝を込めて
Sita