5月4日(土)
快晴。午前中、天気が良いうちに、と思いビーチへ行ったら、マネージャー氏と他の泊り客らがボルダリングをしていた。しばらく見ていたら私もやりたくなって、着替えに戻って一回だけ登ってみる。クアラルンプールのCAMP5で二度遊んだことがあるが、アウトドアは初めて。
例によって泥棒のようなスピードで登っていたらしく、瞬く間に登坂は終わってしまった。降りてみると「速い」、「上で、景色も全く見てなかったよね」と皆が呆れ顔。なんだ、この感じは。どういう風に登ればいいの?CAMP5でもそうだったが、それよりも昔にどこかで同じような事があった。
そうだ、一度だけスキー旅行に行ったことがあったが、あの時だ。「速い」「リフトから見ていたが、バカな人みたいだった」「誰かと思ったらアナタだった」・・・等々。まとめてみると「ボーゲンであんな速度で滑ってく人は見たことがない。変ですよ!」ということなのだろう。こちらも瞬く間に一滑りが終わってしまう。スキーの楽しみは速度感だと思っていたが、そういう訳でもないのか。分からない。
スキーは道具を扱うテクニックが要るけど、クライミングは素手だし、本能のままに登ればいいのでなんのことはない。今日くらいの壁は全くもってナッシングである。下を見たときに、どう恐怖心と戦うか、ということなのだろうが、これは一瞬一瞬の一挙手、一投足に集中あるのみ。
一行はこのあと隣のビーチへ抜ける洞窟へ行くというので、私も付いていく事にした。
中華系マレーシア人の彼らは男2人、女4人のグループで、カレッジの同級生だそうだ。洞窟は真っ暗。川口浩探検隊のような状況だが、誰もヘッドランプを持っておらず、携帯電話の明かりで進む。どうやらそういう時代らしい。
色白でポッチャリ眼鏡の男の子が高所恐怖症で、1m位の壁ですら「ああっっ!ひいっっ!」と泣きそうな悲鳴を上げるのが、ぎゅっと抱きしめたい位に可愛い。彼が洞窟の出口から降りられたことは奇跡のようで、皆で喜んだ。
20歳くらいのグループ。スクスクと若く健全で、しっかりしていて、みんな可愛かった。夕方も一緒に泳いで、夕食も一緒に食べ、夜はバーにファイヤーショーを一緒に見る。
10時過ぎに外に出るなんてのは好きではないが、結果的にファイヤーダンスはとても楽しめるものだった。ファイヤーダンスというと、部族的な太鼓に合わせて火を振り回すのしか見たことがなかったが、今までのは何てドンくさいお遊びだったか。
メンバーは、さっきまでDJ卓にいたムキムキマンと、昔の暴走族みたいな眉毛なし、昨日弾き語りをしてギターをとちっていた良い声のオジサン、等の従業員チーム。旅行者であろう西洋人の女の子。いつもスケボーに乗ってウロウロしている全身刺青スキンヘッドにキャップの若いスケーター達、総勢8人くらいか。
ムキムキマン以外のスタッフチームは年齢のせいか大したことは無いのだが、ウロウロ少年たちの演技が凄かった。しなやかなレオパードの様な体躯で、長い棒やら、紐やらを火が消える程の高速で振り回しつつ、縦横無尽に飛び、反り、踊る。スピード感。単なる不良かと思っていたが、こんな凄技を身に付けているなんて、どれだけ練習したんだろう。私は、ひた向きさが垣間見えるものが好きなのだ。もっとも彼らにとっては練習も遊びのうち。単に無心に楽しんでいるだけなのだろう。そういうのは、男の子特有だと思う。
それにしても、余分なものの削ぎ落とされた体には凄みがあって見とれてしまう。私は凄みのある体が好きなのだ。そこに見える野生、俊敏、バネ、強靭、粘り、鋭さ、柔らかさ、速度。だから私も凄みのある体になりたくて、そして多分、まあまあ実現していると思う。
今日は一日ただ遊んでしまった。こんな日もあるさ。
5月5日(日)
昨日は一日遊んでしまったから、今日は仕事と意気込んでいたのに、ネットに繋がらない。iPhoneの方が繋がったので調べてみたら、
「良好に接続していたインターネットが、ある日突然使えなくなる」
のは、Windows7で頻発している現象らしい。セキュリティー機能ということになるのだろうけど、どういうご機嫌でか信号を読むのを拒絶してしまうらしい。
Web上にある情報を集めに集めて、朝から夕方までありとあらゆることを試し続けた。初めてコンピューターに手動で指令を出してみたり、ドライバーを削除してしまって、慌てて復元させたりもした。デフォルトゲートウェイだとかIPアドレスだとか、DNSだとか、いままで自動で取得されていたものを、手入力して、接続を復活させることに成功したが、接続があってもウェブの閲覧が出来ない。最終的にIPアドレスの末尾をある255と0以外の数字に変更し、遂に解決。6時間半かかってしまった。サブでiPhoneがあったから出来たことだが、根気よく苦手を克服したことに達成感。
一日つぶしてしまい残念なようだが、雨模様だったから良しとする。日没間際に雲が晴れたので泳ぎに行く。嘘みたいな凪、静けさ。だいぶ深いところに出ているが怖くはない。ふかふかと浮かんで水中シャバーサナすると、二つの水晶体から360度の世界が見える。パソコンと睨めっこで疲れた目が楽になった。
5月6日(月)
夜遅くに寝たのに、早く起きた。気持ちの良い快晴は逃してはいけないので朝食後に泳ぎに行く。
水は極めて透明で、もうピピ島なんて行かなくてもいいや、と完全に思っている。ピピ島はディカプリオの映画以来人気が出て、若い人とバーが多く、毎晩パーティーだそうだ。
空の青さを受けとめる水の中で遠くを見ると、ティファーに二ーの箱のような優しいマリンブルー。ゴーグルを持っていないので深いところでは魚は見えないが、浅瀬ではメダカみたいなのや、赤ん坊のくせに立派に縞々な奴とかがいるので、いるはいるのであろう。
ここに来てから、体がだいぶ緩んだというか、ニュートライズされたような気がする。マッサージという言葉にもはや魅力を感じないくらい。ここまで腹をくくって休暇を楽しんだのは初めてなので、こういうことは初めて分かったのだが、ニュートラルに戻す、ということは肉体にとっても精神にとっても大切なことではないか思う。フランス人は毎年こんなことをしているのか、と羨ましくなる。実に豊かである。顔に麦わら帽をかぶせてゴロ寝。麦わらの隙間から見える風景。
40バーツ払ってダイヤモンドケイヴという洞窟に入ってみた。綺麗な鍾乳洞であるが奥行きは短い。正直タイの洞窟はあまり好きではなくて、なぜかというと獣臭いからである。蝙蝠の家(天井)の下に糞が集まるが、蝙蝠は掃除をしないので。洞窟やら滝などは日本のものの方が清廉で好きだ。
昼過ぎて戻ったら雨。ずっと雨。お陰で頭の中のお仕事には大変集中できた。午前に泳ぎに行ってしまって正解。
快晴。午前中、天気が良いうちに、と思いビーチへ行ったら、マネージャー氏と他の泊り客らがボルダリングをしていた。しばらく見ていたら私もやりたくなって、着替えに戻って一回だけ登ってみる。クアラルンプールのCAMP5で二度遊んだことがあるが、アウトドアは初めて。
例によって泥棒のようなスピードで登っていたらしく、瞬く間に登坂は終わってしまった。降りてみると「速い」、「上で、景色も全く見てなかったよね」と皆が呆れ顔。なんだ、この感じは。どういう風に登ればいいの?CAMP5でもそうだったが、それよりも昔にどこかで同じような事があった。
そうだ、一度だけスキー旅行に行ったことがあったが、あの時だ。「速い」「リフトから見ていたが、バカな人みたいだった」「誰かと思ったらアナタだった」・・・等々。まとめてみると「ボーゲンであんな速度で滑ってく人は見たことがない。変ですよ!」ということなのだろう。こちらも瞬く間に一滑りが終わってしまう。スキーの楽しみは速度感だと思っていたが、そういう訳でもないのか。分からない。
スキーは道具を扱うテクニックが要るけど、クライミングは素手だし、本能のままに登ればいいのでなんのことはない。今日くらいの壁は全くもってナッシングである。下を見たときに、どう恐怖心と戦うか、ということなのだろうが、これは一瞬一瞬の一挙手、一投足に集中あるのみ。
一行はこのあと隣のビーチへ抜ける洞窟へ行くというので、私も付いていく事にした。
中華系マレーシア人の彼らは男2人、女4人のグループで、カレッジの同級生だそうだ。洞窟は真っ暗。川口浩探検隊のような状況だが、誰もヘッドランプを持っておらず、携帯電話の明かりで進む。どうやらそういう時代らしい。
色白でポッチャリ眼鏡の男の子が高所恐怖症で、1m位の壁ですら「ああっっ!ひいっっ!」と泣きそうな悲鳴を上げるのが、ぎゅっと抱きしめたい位に可愛い。彼が洞窟の出口から降りられたことは奇跡のようで、皆で喜んだ。
20歳くらいのグループ。スクスクと若く健全で、しっかりしていて、みんな可愛かった。夕方も一緒に泳いで、夕食も一緒に食べ、夜はバーにファイヤーショーを一緒に見る。
10時過ぎに外に出るなんてのは好きではないが、結果的にファイヤーダンスはとても楽しめるものだった。ファイヤーダンスというと、部族的な太鼓に合わせて火を振り回すのしか見たことがなかったが、今までのは何てドンくさいお遊びだったか。
メンバーは、さっきまでDJ卓にいたムキムキマンと、昔の暴走族みたいな眉毛なし、昨日弾き語りをしてギターをとちっていた良い声のオジサン、等の従業員チーム。旅行者であろう西洋人の女の子。いつもスケボーに乗ってウロウロしている全身刺青スキンヘッドにキャップの若いスケーター達、総勢8人くらいか。
ムキムキマン以外のスタッフチームは年齢のせいか大したことは無いのだが、ウロウロ少年たちの演技が凄かった。しなやかなレオパードの様な体躯で、長い棒やら、紐やらを火が消える程の高速で振り回しつつ、縦横無尽に飛び、反り、踊る。スピード感。単なる不良かと思っていたが、こんな凄技を身に付けているなんて、どれだけ練習したんだろう。私は、ひた向きさが垣間見えるものが好きなのだ。もっとも彼らにとっては練習も遊びのうち。単に無心に楽しんでいるだけなのだろう。そういうのは、男の子特有だと思う。
それにしても、余分なものの削ぎ落とされた体には凄みがあって見とれてしまう。私は凄みのある体が好きなのだ。そこに見える野生、俊敏、バネ、強靭、粘り、鋭さ、柔らかさ、速度。だから私も凄みのある体になりたくて、そして多分、まあまあ実現していると思う。
今日は一日ただ遊んでしまった。こんな日もあるさ。
5月5日(日)
昨日は一日遊んでしまったから、今日は仕事と意気込んでいたのに、ネットに繋がらない。iPhoneの方が繋がったので調べてみたら、
「良好に接続していたインターネットが、ある日突然使えなくなる」
のは、Windows7で頻発している現象らしい。セキュリティー機能ということになるのだろうけど、どういうご機嫌でか信号を読むのを拒絶してしまうらしい。
Web上にある情報を集めに集めて、朝から夕方までありとあらゆることを試し続けた。初めてコンピューターに手動で指令を出してみたり、ドライバーを削除してしまって、慌てて復元させたりもした。デフォルトゲートウェイだとかIPアドレスだとか、DNSだとか、いままで自動で取得されていたものを、手入力して、接続を復活させることに成功したが、接続があってもウェブの閲覧が出来ない。最終的にIPアドレスの末尾をある255と0以外の数字に変更し、遂に解決。6時間半かかってしまった。サブでiPhoneがあったから出来たことだが、根気よく苦手を克服したことに達成感。
一日つぶしてしまい残念なようだが、雨模様だったから良しとする。日没間際に雲が晴れたので泳ぎに行く。嘘みたいな凪、静けさ。だいぶ深いところに出ているが怖くはない。ふかふかと浮かんで水中シャバーサナすると、二つの水晶体から360度の世界が見える。パソコンと睨めっこで疲れた目が楽になった。
5月6日(月)
夜遅くに寝たのに、早く起きた。気持ちの良い快晴は逃してはいけないので朝食後に泳ぎに行く。
水は極めて透明で、もうピピ島なんて行かなくてもいいや、と完全に思っている。ピピ島はディカプリオの映画以来人気が出て、若い人とバーが多く、毎晩パーティーだそうだ。
空の青さを受けとめる水の中で遠くを見ると、ティファーに二ーの箱のような優しいマリンブルー。ゴーグルを持っていないので深いところでは魚は見えないが、浅瀬ではメダカみたいなのや、赤ん坊のくせに立派に縞々な奴とかがいるので、いるはいるのであろう。
ここに来てから、体がだいぶ緩んだというか、ニュートライズされたような気がする。マッサージという言葉にもはや魅力を感じないくらい。ここまで腹をくくって休暇を楽しんだのは初めてなので、こういうことは初めて分かったのだが、ニュートラルに戻す、ということは肉体にとっても精神にとっても大切なことではないか思う。フランス人は毎年こんなことをしているのか、と羨ましくなる。実に豊かである。顔に麦わら帽をかぶせてゴロ寝。麦わらの隙間から見える風景。
40バーツ払ってダイヤモンドケイヴという洞窟に入ってみた。綺麗な鍾乳洞であるが奥行きは短い。正直タイの洞窟はあまり好きではなくて、なぜかというと獣臭いからである。蝙蝠の家(天井)の下に糞が集まるが、蝙蝠は掃除をしないので。洞窟やら滝などは日本のものの方が清廉で好きだ。
昼過ぎて戻ったら雨。ずっと雨。お陰で頭の中のお仕事には大変集中できた。午前に泳ぎに行ってしまって正解。